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導入事例

大原野こども園

”安全”は俣護者に大きなアピールになる ―― 子どもたちの記録をTiFRONTで守れ!

大原野こども園の先生たちは、スマホやタブレットで音声入力を使い、子どもたちの日々の成長を声で記録し続ける。 その重要情報をサイバー攻撃が狙う。 大事な情報を守ること、それは「保護者の信頼」につながる。 攻撃を検知したら即遮断、かつ”クラウド"で管理できるTiFRONTが、今日も子どもたちの安全を担保する。

大原野こども園

<施設紹介>
設立: 1980年4月1日開園
所在地: 京都市西京区大原野上羽町318

「子どもたちの成長」という 大事な情報を守る

園長 櫛引雄一 氏

京都市西京区、のどかな住宅街を抜けると、にぎやかな声が聞こえてくる。 遠くに山並みが見える場所に、幼保連携型認定こども園の「大原野こども園」がある。 現在150名ほどの園児が通うこども園では、50名弱の職員が子どもたちを見守っている。

保育園機能と幼稚園機能を兼ねるこども園にも、IT化の波がやってきている。
保護者へのサービスとして、多くのこども園がいつでも子どもたちの様子を見られる 「ライブカメラ」を用意したり、保護者とのコミュニケーションにWebサイトを利用している。 これらは便利な仕組みだが、そこにはセキュリティの担保が必要になる。

子どもたち、両親たちの個人情報をデジタルデータで持つようになったこども園において、 情報を守るための”多層防御”の一端を、パイオリンクの「TiFRONT」が担っている。 なぜTiFRONTが選ばれたのか、その選定理由と情報に対する考え方を、園長の櫛引雄一氏に聞いた。

こども園におけるIT化推進 ―― “声”と“スマホ”で日誌作り

櫛引氏によると、こども園をはじめとするこの業界においては、なかなかIT化が進められていないところが多いという。
こども園におけるIT化で、最も重要なのは「日々の記録」だ。「職員は日中、子どもたちを見ています。例えばその時にどのような遊び方をしていただとか、病気やけがの状況は逐一記録を付け、引き継ぎをする必要があります。そのため、指導のための書き物が多いんです。

今では職員一人一人にタブレットやスマホを提供し、音声入力で記録をするようにしています」と櫛引氏は述べる。 これらの情報を内部でため込むことで、例えば昨年どのような感染症がいつ流行したかなどが分かるという。 今ではベテランの職員も、スマートフォンに音声入力することで気軽に記録ができるため、ITが業務の時間短縮の役に立っている。

もちろん、これらの子どもたちの記録は保護者へ渡す「お便り」を作るためにも活用している。 ただし、この部分はあえて”手書き”で行っているという。「この部分をパスワード保護したWebサイトで実現することも可能だが、手書きであれば思いが伝わるし、保育教諭の文章力も付けられる」。デジタルとアナログを適材適所で使っている。

デジタル化の弊害

デジタルデータにすることで簡単にその情報を「盗む」こともできてしまう。櫛引氏はこども園のシステムにUTMを導入し、セキュリティの担保を行っていたという。「UTMを入れることで安心していました。しかし定期的に送られてくるレポートをみると、いくつかのマルウェアに感染している可能性があるという記述が徐々に目立つようになってきました。個別のパソコンにマルウェア対策ソフトを入れることもひとつの対策ですが、活用されはじめたタブレットやスマートフォンには入れられないので、大本でチェックできるようなものを探していました」。

これまでシステムの導入を手伝ってきたシステムインテグレーターや、知り合いのプログラマに相談したところ、パイオリンクのTiFRONTの名前が挙がる。2017年5月にリリースされた”箱を開けると設定が降ってくる”「TiFRONTクラウド管理型モデル」を導入したきっかけには、このような背景があった。

クラウド版TiFRONTを導入、その理由は「多層防御」

TiFRONTを選択したのは、UTMに加えもう一層の「多層防御」が実現できるからだという。UTMである程度の安心ができたとしても、そこですべてがせき止められるわけではない。「致命的にならないうちに”次”の対策を取る必要性を感じました。専門的な部分は私には分からないですが、事例を教えてもらい、今後を考えると不正通信を検知したら止められる仕組みがいいと考えました」(櫛引氏)。

導入の手間はほとんど無かったと櫛引氏は述べる。「UTMなどを導入した業者に取り付けも依頼したが、特に問題なくすんなり終わりました。セキュリティ機器であるので、普段はトラブルもなく、実感もないというのが本音です。なにかが起きればレポートを見ればいいですし、気兼ねなく通常業務に専念できるという”安心感”がありがたい。以前UTMでレポートされていた異常も、TiFRONTを導入してから出力されなくなった」(櫛引氏)。

「IT的に安心」は保護者に対するサービスになる

導入以後、大きなトラブルもなく、職員は通常業務をそのまま継続できているという。その裏では、TiFRONTがトラブルを未然に防いでいるといえる。「現場の先生にはITに関する危機意識を感じさせず、管理者の方で整備ができるようになった」と、”システム管理者”でもある園長の櫛引氏は語る。そしてこのセキュリティ力は、保護者へのアピールにもなるという。

「他の保育園、幼稚園を見ると、まだWebサイトすらないというところも多く、その点で保護者から心配されることも多いそうです。大原野こども園はその点結構進んでいて、園内のGoogle ストリートビューが提供されていたり、Facebookページを作っていたり。情報公開することこそが、保護者へのサービスになると思っています。だからこそ、セキュリティが重要なのです」(櫛引氏)

ハードルの高いライブカメラ導入、もっとハードルの高い「安全確保」

大原野こども園では、情報公開の一環として15年ほど前から「Webカメラ」を解放し、保護者が自分の子どもたちを居ながらにして見ることができるようになっている。保護者にはIDとパスワードを提供し、関係者だけが閲覧できる仕組みだ。

しかし、「性善説」だけでは通用しないのがいまのITセキュリティだ。例えばWebサーバーの脆弱性を攻撃され、Webカメラのストリーミングを盗聴するような攻撃を行われた場合、大事な子どもたちのプライバシーが脅かされてしまう。その点でも、園内のネットワークを監視し、不正な通信を検知したら即遮断するという仕組みが必要になる。この点でも、TiFRONTがセキュリティ面を担保し、安全な情報公開が可能になる。保護者に対しても情報公開を進めることで、櫛引氏は「この業界のセキュリティ意識を高め、開放的な雰囲気を醸成したい」と述べる。

「子どもを育てる」手法が変わる ―― ITで変える

子どもたちを育てる方法論も、時代とともに変化していると櫛引氏は言う。これまでであれば保育をする上で、全員が一斉に同じ時間やタイミングで同じ活動をして、クラスでまとめて行動させていた。しかし現在では、子どもたちの主体性を尊重し、さまざまな家庭環境や発達にあわせ「その子自身にあった環境づくり」という教育指導が望まれる。そこから人間の力、子どもの力が生まれてくる。そのためには、どのようなことを経験し、どう行動したかを正確に記録することが重要だ。

音声入力が可能なタブレットというITの力で、記録することの省力化ができるようになり、その情報を活用する下地ができてきた。その情報をしっかり守っているという事実こそが、保護者が次に求める要素になる。その一端を、パイオリンクのTiFRONTが担当しているのだ。

「いままでのIT機器の選定には、時間をかけることができたかもしれません。セキュリティ機器はコスト的にも決して安いものではないかもしれないが、効果、機能を教えてもらったり、昨今起きている情報漏えい事件などの情報を知れば知るほど、このような機器の必要性を感じます。値段が安いから選ぶ、というのではダメなのかもしれませんね。事故が起きなければ実感はできないかもしれませんが、いざというときの保険としても考えています」(櫛引氏)

子どもたちの情報を守り、こども園全体の仕組みをITで守る。蓄積したデジタルな情報をもとに、保護者へのアナログで温かみのある情報発信を実現する。大原野こども園ではそのようなハイブリッドな運用が行われている。「”心”が成長できるよう、その子にとって個別の環境を考える取り組みを常に考えています。心が成長すれば、いっぱい友達を作ることもできます。社会情勢にあわせ、自分たちも変わらなければいい保育につながらない。周りが変わることに対応できる子どもたちを育てるには、まず先生方が変わらなければなりません」。

大原野こども園では今日も子どもたちがにぎやかに遊び、その状況がITによって記録され続けている。TiFRONTが安全、安心という”目立たない”機能を、今日も提供し続けている。